9. 舌がん - 病理結果 IVa 2016.2
かなり悪い奴
手術後2週間近くが経過し回復も順調ななか、妻が来てくれた日曜日、主治医より別室にて妻と一緒にお話を伺う。手術で切除した組織の病理検査結果、リンパ節に転移3つ、うち1つに節外浸潤あり。(腫瘍を切除した断端はどの方向も陰性なのが救い。)
"2つは画像で転移の可能性ありと伺っていましたが、3つもあったなんて..."(私)
"3つとはいうものの、ばらばらと広がっているのではなく、リンパ節の領域でいうと Level 2 という "1か所" にかたまっていました。"(ドクター)
"節外浸潤ということは、いつだかわからない節外浸潤の始まりから手術までの期間に、がんが広がっていたということですね。もう私は今後、がんを抱えながら、いわば、がんと共生しながら生きていく、ということでしょうか"(私)
"...(少し間をおいて)...節外浸潤といっても、もともと外見からわかる大きなこぶがある人のケースと MWさんのケースは違います。ただし、再発ハイリスク群であることには違いがありません。そこで次の治療として、ガイドラインでも推奨度Aとされる、術後化学放射線療法をうけられるのが良いと思います。"(ドクター)
"再発ハイリスクに該当するにも関わらず、この術後治療を受けないで、それでもその後ずっと問題が無いかたは、います。逆に、やったからといって 100% 再発がない、ということでもありません。また、有効性の根拠となる比較試験は舌癌なり口腔癌に絞ったものではなく、頭頸癌という大きな括りで、しかも海外のデータです。"(ドクター)
術後化学放射線療法
"目に見える腫瘍など、治療効果が確認できればその必要性もわかるのですが、顕微鏡レベルのがんに対し、放射線をこのタイミングで使ってもよいでしょうか?何年も再発がなければ、あの時やっておいてよかった、ということが後になり振り返ってみて初めてわかるのですよね...。今後、再発が肉眼的に確認されたら手をうつ、のは遅いでしょうか?"(私)
"今このタイミングで治療したほうが良いです。ただ、どうしても抗がん剤が嫌だというかたはいます。そうしたかたでも、抗がん剤は無しで放射線だけであっても、今やったほうが良いです。"(ドクター)
"この治療は、抗がん剤はシスプラチンという強い薬を使うため様子をみながら投与しなければならず、入院が必要です。2ヶ月近くに及ぶ長い入院となります。体調がよければ、週末は皆さんご自宅に戻られています。”(ドクター)
"放射線の影響で、首の回りが硬くなります。日常生活ではこれが一番大きいと思います。このこわばりは、ほとんど元に戻りません。他、唾液や味覚の問題がありますが、ある程度の回復は期待できますし、個人差がとても大きいです。放射線治療の照射計画や副作用についての詳細は、放射線科ドクターに伺ってください。"(ドクター)
病室に戻った後、自分で調べる。35%くらいのハイリスク群の5年生存率が、この術後治療により 45%くらいまで上がる。病理はなかなか厳しい進行状況であったので、今できる治療は最大限やってもらおうと思う。妻にも確認する。
放射線科
今後のお面づくりに始まる段取り、照射スケジュール想定、副作用など、詳しく伺う。
"手術なり廓清なりでモノを取ったいわば "跡地" に対し、顕微鏡レベルで残っている(かもしれない)という状況下、放射線を今の時点で使ってしまってよいでしょうか?"(私)
"放射線はもちろん、セットの抗がん剤もこのタイミングで入れたほうが良いです。実際に顕微鏡レベルのがんがどれくらい残っているかは、わかりません。ですが、このタイミングで叩いておいたほうが、後で何かあったとき、やっておけば良かった、という後悔が無いです。"(放射線科ドクター)
3D-CRT か IMRT か
私の場合、患側だけの照射であり、照射は 3D-CRT でも IMRT でも可とのこと。両方法にはそれぞれ一長一短がある。放射線ドクターからは、照射範囲(境界)がはっきりする 3D-CRT を勧められたが、正常臓器への最大線量を少しでも減らせる IMRT でお願いすることにした。ただし IMRTは低線量の照射範囲が広く、今後、仮に対側リンパ節転移があったときなどは治療の選択肢が狭まってしまう...。
一通り伺った後の、術後放射線治療に対する私のイメージ は、5年の命を得る代わりに 10年~20年スパンの命は諦める、というもの。とにかく晩期障害の骨髄炎/下顎骨壊死が怖すぎ。でも今は、術後1年後/2年後さえ不確かな身。10年/20年という贅沢は、とても口にできません...。
口腔外科
レントゲンと診察により、化学放射線治療のための事前の歯の治療は不要と口腔外科ドクターに確認して頂く。また、化学放射線治療中の口腔ケアの予定を確認。
虫歯が無いのは、実習中の看護学生のかたから、口腔ケアの図とポイントを書いた手作りの絵をもらい、スポンジの使い方などのアドバイスを頂いていたのも功を奏したかな...。
技士のかたから、歯石除去、歯ブラシの使い方レクチャー(弱く小さく細かく、歯茎に当てすぎないようなブラシ角度に注意)を頂く。これまでのブラッシングはストロークが大きすぎた...。
デンタルフロスも歯磨きチューブもマウスウオッシュもいらない?
ブラッシングが丁寧にできれば、デンタルフロスも歯磨きチューブも使わないで大丈夫、とのこと。そういえば大昔、歯の定期健診で技士から伺った、"リステリンのようなマウスウオッシュは匂いがわからなくなるので、自分が正しく歯を磨けているかわからなくなってしまう、だから使わないほうが良い"、という話を思い出す。
喫煙者だったのでマウスウオッシュを止めることはなかったかったが...もしも使ってなければ舌がんの匂い?など口臭の変化でもっと早く異変を察知できた?『たられば』は NGだけど...ついつい...。
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