8. 舌がん - 手術・ICU・回復室 2016.2
切る前に揉む
朝イチからの手術であったが、その前に診察があり、頸部リンパのあたりを触診?して頂く。けっこう力が入っており、痛い。処置室には、珍しく主治医と私しかいない。他のスタッフのかたは直前の準備で忙しいのかな。
力の入れ方がただならぬ感じで、転移しているリンパなり怪しいリンパなりを、あえて活発にしているかのような印象。話が変な方向に行って、その後の手術に影響を及ぼすといけないので、あえて質問しない。
主治医、ひたすら揉む。なされるがままに座る。30秒程度?と思うが、お互い無言なので、長く感じる。"私は頭頚部の癌を専門にしています"(ドクター)発言、なぜか思い出す。
病室に戻ると、担当看護師が時間通りにみえる。自力で歩けるが、手術室へは車椅子で行くとのこと。看護学生さんに押してもらう。手術室がとても明るく、まぶしい。入るとき、車椅子から、よろしくお願いしますと一礼。手術台には自分でひょいと乗る。
教会音楽?(まさか天国に行かないよね?)
手術室はけっこう広くがらんとした感じ。クラシック音楽がかかっている。何かわからないけど、明るい感じのバロック調?...テンポの良さがあるなか、やや荘厳な感じもする...教会音楽かな?(まさか天国に行かないよね?)。最初に点滴があります、との声がどこからか聞こえた後、すぐに深い眠りに落ちる。
標準は 12時間の手術だが MW(私)の場合は9時間くらいで終わるでしょう、との事前説明通り、約9時間で終わった。後できいたところでは、手術後、予定した内容はすべておこないました、と妻は主治医からお話しを頂いたとのこと。
万が一の気管切開の準備のため、表皮のみを切ることになっていた。状況次第という項目の中でいちばん気になっていたが、やはり実際に気管切開することは無かった。なので表皮を切っただけで済んだ。輸血も無かった。
ICU は勢いが命(らしい)
翌朝、ICUで目が覚める。あちこちが痛い。ベッドの上で、自分が丸太のように転がされているような気がする。
そこで看護師に "みなさん いきほいが ありますね" と言ってみる。舌の再建直後でよく言葉が出たと思う。一瞬、看護師の方々は驚いた様子。 "そう、あたしたち勢いでやってるから!" と大笑い。私は苦笑い。ウトウトと眠くなる。
回復は痛みとともにあり
午後に目を覚ますとナースステーション近くの回復室?的な個室に移動していた。妻がいてくれている。うれしい。終わったよ。目で話す。音楽をかけてもらう。『水中メガネ (Chapie)』”....去年は裸で泳いでいたのに...” あたりで涙。
夜はどうしようと聞いてくれる。子どもたちをみてほしい。帰って大丈夫だよと伝える。
ドクター訪問。尿道の管をとってくださいと懇願し、とって頂く。かなり時間をかけたが、夜に排尿できた。あちこち痛いなか、なんとか自力でトイレに行くことができた。
しかし、無理して点滴台を杖にして変な姿勢で歩いたためか(健側の足だけを使ったつもりだったが)、皮弁をとった側の足の、ふくらはぎあたりが、突然つりそうになる。深夜にも関わらず看護師のかた2人がかりのマッサージをお願いする羽目に...。
あのマッサージ、ほんと助かりました..あの夜中の、つる寸前のふくらはぎが、当時いちばんの体の痛みでした。
痰の吸引のことしか考えられない
回復室では、ふだんは痰の吸引をお願いするのに必死。ナースコールスイッチだけは絶対に見失わないよう、いつも手の届くところに置いていた。(翌週以降の次の部屋では、気になったとき、いつでも自分で吸引できた。)
栄養補給、紆余曲折
数日後、鼻から管を入れて栄養補給をされたが、気持ち悪い。1日我慢したが、私が蓄膿症ということも関係があるのか、鼻の中の気持ちの悪さに耐えられない。ドクターに懇願し、外してもらう。
翌朝の診察、主治医から水が飲めるか試され、少しむせたが、飲めた。飲み物 OK がでた後は、最初にオレンジジュースを自販機で買う。なぜか夜だった。部屋まで我慢できず、暗い廊下で思わず立ったままゴクリと一口飲んでしまう。嬉しくて涙ぐむ。
翌日、主治医がおかゆプリンを持ってきてくれて、食べれますか、とのことで、おそるおそる口にすると食べられる!嚥下できる!冷たくて美味しい!
とろみつきミキサー食が始まる。看護師からおいしくないといわれていたが、確かにおいしくない。しかし回復に向かっていることが自分でもわかるので、味なんて気にならない。
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